記事一覧

田中芳樹の錯誤

 田中芳樹という小説家がいる。 『銀河英雄伝説』『アルスラーン戦記』『創竜伝』などのヒット作品を次々と飛ばす、主に「アキバ系」の人たちに大人気のライトノベル作家だ。 その田中芳樹が、自己の小説において頻繁に登場させる悪役のステレオタイプがある。 いわく、常に好戦的な言辞を吐き、国民に対し祖国愛と献身の尊さをアピールして自国の若者たちを危険な戦場にどんどん送り込んでおきながら、自分(と家族)だけは常...

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江戸時代に逆戻りした戦後日本人

 そもそも明治維新以来、「文明開化」やら「富国強兵」やらのスローガンの元、一貫して時の政府が心を砕き続けてきたのは、「江戸時代の、あの羊のように従順だった農民や町人を、いかにして優秀な兵士に育て上げるか」だった。 外敵のいない江戸時代なら、民衆なんてものは臆病かつ従順であればあるほど、権力にとって都合がいいに決まっている。だが、帝国主義列強が覇を競う弱肉強食の時代となると、そうはいかなくなってくる...

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護憲論者の倒錯

 若松孝二は苛立つ。 「オレが今一番腹を立てているのは、日本人が怒りを忘れてしまったこと。何があっても知らん顔。今の国会もひどいのに、誰も怒ってないよね」 斎藤貴男などは、気も狂わんばかりにこうわめき散らす。 「(ブッシュや小泉のやり方を罵倒して)収奪や殺戮が美徳になる社会など冗談ではない。加害者の側に身を置くのも、被害を強いられるのも真っ平ごめんである。(中略)にもかかわらず、マジョリティは動か...

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復員兵たちの「指令」

 労働組合の世界では、上部団体から下部団体へ下す命令のことを、今でも「指令」と呼んでいる。 他にも「訓示」「闘争」など、「反戦平和」を標榜する左翼団体にしては、やけに軍事色の強い用語が頻繁に使われているのを、奇異に思われた方もけっこういるのではないかと思われる。 これは言うまでもなく、現在の労働組合のほとんどが、先の敗戦直後、戦地から帰ってきたばかりの復員兵たちによって結成されたためである。新しい...

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宮台、いいこと言った!

 宮崎 しかも、政府への抵抗に正当性がある場合には、その(=軍事・引用者註)訓練を受けた者たちはたちまち革命勢力に転化する。宮台 その通り。すなわち国民皆兵の理念だ。レジスタンスは国民皆兵の理念――国民軍の理念――なしにあり得ない。徴兵制による国民皆兵化で初めて市民軍やレジスタンスの基礎が築かれる。フランスで徴兵制廃止に反対したのは左翼レジスタンスたちだった。かくして「愛国」とは「国民を屠る国賊政治家...

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