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「憲法制定権力」の問題

 「何? 神が万物を創った? ではその神を創ったのは一体誰なのだ?」

 その昔、新井白石がイタリアの宣教師であるジュアン・シドッチを尋問した際に、彼の説くキリスト教の教義を聞いて、思わず発したとされる疑問である。

 実はこれと似たような問題が、憲法をめぐる論議のなかにも存在する。

 言うまでもなく憲法とは、立憲国家においては、国の最高法規であり、あらゆる全ての権力行為の正当性を保障する根源である。いかなる法律も、その内容が憲法に違反し、しかも憲法の定める手続きに従わずに制定されたならば、それは一切無効とされるのだ。

 が、となると、当然次のような疑問が発生する。

 「(法律制定を含む)全ての権力行為は、それが憲法の定める内容に従って行使されているか否かによってその正当性が決まるのならば、その(正当性の根源である)憲法それ自体の正当性は、一体何によって保障されるのだ?」

 (小室直樹学派を除く)日本の憲法学者たちの誰一人として触れたがらない、これは究極の憲法問題である。

 この問いに対する答えは、現在のところ、ドイツの政治学者であるカール・シュミットの説く『憲法制定権力理論』以上のものは存在しない。すなわち「憲法を超越した、さらに高度な権力がどこかに存在し、それが生み出した憲法だからこそ、通常の権力は、その憲法に従うべきなのだ」とする理論である。

 では、その「憲法を超越した、さらに高度な権力=憲法制定権力」とは、一体なんなのかという問題が次に出てくるはずなのだが、これがどうもはっきりしない。

 たとえばアメリカならば、それは「建国の父たちの権威」ということになるだろうし、イギリスならば「マグナ・カルタ以来の歴史の積み重ね」ということになるだろう。革命によって成立した国ならば、もっと露骨に「混乱に紛れて、ちゃっかり権力の中枢に居座った奴」が間に合わせに創ったものが、そのまま憲法として通用してしまう、なんてことも有り得る。とにかくそれくらい曖昧模糊とした、わけの分からないものがこの「憲法制定権力」であり、しかもそんな未完成な理論であるにも拘らず、世界の憲法学者は、未だに誰一人としてこれを超える理論を生み出してはいないのである。
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