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改憲派最大の弱点

前回の続きに入る前に、最近、かの自民党草案をはじめとする保守派の改憲論議のなかでも多数派となってきている主張、すなわち「改憲といっても、九条一項については手を加えず、二項だけを改正の対象としよう」とする議論に対し、私が全く何の異論も加えず、むしろそれを当然の前提として話を進めてしまった点について一言、釈明しておきたい。

かの西村眞吾・元衆議院議員が、逮捕される直前(註:2006年当時のこと)に『たけしのTVタックル』に出演し「最近の改憲派が、みんな九条二項ばかりを問題にして一項に手を加えようとしないのはけしからん。変えるなら九条一項こそ真先に変えるべきだ」と主張したシ-ンは、私も偶然見る機会があったので良く覚えている。そしてその時私は、TVを見ながらつくづくこう慨嘆したものである。

 「この人は一体、昭和天皇の御遺志をなんと心得ておるのか」と。

 そう。

 我々も、そして保守派の連中も普段はあえてこの問題から目を背けているが、実はこの点こそが、我々改憲派にとっての最大のウィ-クポイントなのである。

 我らが全力を挙げて叩きつぶそうとしている九条、実はこれこそが現行憲法のなかでも、昭和天皇の御意向が最も強く反映された箇所であり、そして今上陛下も、そして皇太子殿下も、この点ではおそらく変わりはないであろうことが。

  幸いなことに、日本の左翼はどうしようもない馬鹿ばかりである。しかも奴らにとっては神の御託宣にも等しい「憲法九条」が、昭和天皇のごとき「邪悪なる戦犯」の支持によって成立したなどという事は断じてあってはならないから、奴らもこの点については深く突っ込んでこようとはせず、そのお蔭で我々も、普段はあまりこの問題について悩まされずに済んでいる。

 とはいえ、中には川内康範(ご存じ『月光仮面』の作者)のように「九条は、昭和天皇の御遺志だからこそ厳守すべきだ」などという意見もある。我々も憲法問題を考える以上「(問題を)突きつけられないのなら考えないでいいや」などと、いつまでも思考停止に陥っているわけにはいかないだろう。

 この問題について私が考えた解答は、こういうものである。

 「『昭和天皇の御遺志』といっても、複数の異なるル-トからそういう伝聞があったから(御遺志である)信憑性が高いとされているだけで、特にそういう公式文書が残っているわけではあるまい。陛下生前の詔勅や『お言葉』のなかにそれらしきものを探すとすればそれはただ一つ。西暦一九二八年の『パリ不戦条約』が、日本では昭和天皇の御名において締結されたという事実があるに過ぎない。ならば我々もそう深刻に考える必要はない。現行憲法の中でも九条一項だけを追認しておけば『昭和天皇の御遺志を守った』ことになるのではないか!?」

と。

(続く)
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