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「改憲」か「破棄」か「失効」か「無効」か

 言うまでもないことだが、現行の日本国憲法には、法的にも歴史的にも政治的にも、その他いかなる意味においても、正当性は全くない。たとえいかに形式上は法的な手続きを踏まえて成立したように見えようとも、それが日本自身に独立国としての主権が一切ない占領下において行われたものである以上、そんなものは馬鹿げた茶番劇でしかない。

 (憲法原理主義者の大塚英志は「〈憲法制定が〉占領下故に無効であるとするなら、現在まで国連〈言うまでもなく国連とは第二次世界大戦の戦勝国=連合軍が起源です〉の監視下に行われてきたいくつもの国の総選挙や民主化も無効であると表明する必要が出てきます」と述べている。なんでもかんでも「アメリカマンセー」な保守右派にとっては絶句するしかないツッコミかもしれないが、今回のイラク戦争どころか、七〇年代から一貫してアメリカの「民主化」に名を借りた覇権主義に反対してきた我々保守左派(の中の最強硬派)の立場からすれば「そのとおりですが何か?」と一言返してやれば済む)

 だがこの正論に固執すると、実は厄介な問題がでてくる。

 「現行憲法の正当性を一切認めない」というのであれば、その憲法第九六条の規定に従って合法的に憲法を改正する、ということも「認めない」となってしまう、すなわち革命的手段に依る以外、現行憲法体制を打倒することが論理的に不可能になってしまう、という選択肢の手狭化の問題だ。

 そもそも一口に「改憲派」といっても、実はその中にも右派・左派を問わず、様々な意見の相違がある。

 「合法的改正でいいじゃないか」とする「国民会議」や西修、小林節教授ら『穏健派』の意見もあれば「議会で『憲法破棄』決議をすればいい」とする石原慎太郎東京都知事(当時)ら『破棄派』の意見、あるいは「昭和二六年の占領終了と同時に憲法は失効し、その下には旧明治憲法が潜在的に生きている」とする故・福田恆存のような『失効派』、さらには憲法制定時点にまで遡って「憲法自体が初めから全面的に無効!」とする渡部昇一のような『無効派』までそれは実に様々だ。

 ちなみに私個人は、基本的には故・福田恆存の意見に賛成だが、「その下には明治憲法が潜在的に生きている」という考えには賛成できない。

 このブログの護憲派が共闘を呼びかけてきた!(2)で引用した小室直樹の言葉にもあるとおり、憲法とは本質的に慣習法であり、その精神が実効されないのならば、憲法はもはや廃止されたのと同じことだからだ。すなわち戦後日本は、昭和二六年以降、実質的に無憲法状態のままでここまで来てしまっている、というのが私の考えである。

 ともあれ、我々のような「保守右派(の中の最主流派)」では無い改憲派の主張(の多数)が「現行憲法に正当性はない!」というものである以上、現在保守右派の間で生じている「合法改憲」の流れに、我々は乗っていけないのであろうか。

(続く)
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