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護憲派が共闘を呼びかけてきた!(3)

 先の都知事選の直前、都議会の質疑応答で、ある共産党の議員が石原慎太郎都知事(2003年当時)に対し、「あなたの言動には憲法違反の疑いがあるものが多すぎる」と問い詰めたことがあった。そしてそれに対し、石原はなんとこう返答したのだ。

 「違反で結構。私は憲法を認めません!」

 いうまでもなく、現行憲法第九十九条には「天皇および議員・公務員らの、この憲法に対する尊重および擁護の義務」が明記されている。そして事実、都知事に限らず全ての公務員は、就職時には必ず「憲法を遵守し且つ擁護する」という誓約書を書かされているはずなのだ。

 それを石原は真っ向から破ってのけた!

 しかも議会での質疑応答という、これ以上ないほど公けの場所でだ!

 このことは当然、共産党の選挙用ビラに印刷されて大量にばら撒かれた。そして石原に批判的なメディアによっても、徹底的に逆宣伝に利用されたのである。

 そして都知事選。

 ご存知のとおり、石原は得票数三百万票超、得票率七十%超を取って圧勝した。つまり都民は、「憲法を認めない」とはっきり公言し、しかも実際に憲法第九十九条を衆人環視のもとで堂々と破ってのけた男に「東京都知事」というきわめて重要な公務を与えてしまったのだ!

 これはすなわち、石原の憲法(第九十九条)違反に対し、都民がその共犯者になったということではないのか? いや先の「憲法は慣習法」という原則に従うならば、「投票行動」というこれ以上ない決定的な意思表示の方法によって、都民(=首都在住の国民という、事実上国民全体の代表に近い存在)みずからが憲法に書かれた慣習を拒絶した、すなわち「憲法に死を宣告した!」ということになるのではないのか?

 こうした私の考えにたいし「深読みのしすぎだ」という批判は当然あるだろう。「都民は石原のタカ派的言動を支持したのではなく、果敢な実行力を評価したに過ぎない」という現実論もありうる。

 しかし私には、たとえいかなる理由があるにせよ、ここまで堂々と「憲法拒否」を公言し、しかも実際に憲法違反をやってのけた男があっさりと選挙に当選してしまう現状では、もはや現行憲法など、議会による「破棄宣言」など待つまでもなく、今現在すでにその効力を失ってしまっているように思われてならないのだ。

 そしてこのような状況のもとでは、たとえ「イラク侵略協力反対のための皮肉な意味」としてですらもはや現行憲法に利用価値はないとしか思えない。イラク侵略の前に、効力なき憲法など無力な駄文の羅列でしかないだろう。

 そんなことより、もっと深刻な問題がある。

 「今現在、憲法はすでに死んだ状態にある」ということは、今の政府はまさにやりたい放題、いかなる掣肘も受ける状態にはない、ということになるのだ。

 考えてみれば、かの「盗聴法」以来の悪法のオンパレードも「憲法が死んだために、権力の暴走を抑えるものが何もなくなってしまった」からだと考えれば納得がいく。

 すなわち、今我々が緊急にやるべきことは、すでに死んでしまった現行憲法に代わり、真に権力を掣肘する実効性を持った自主憲法を制定し、これ以上の権力の暴走を抑えることにあるのではないだろうか。

 そこで大塚氏には、逆に我々のほうからこう呼びかけたい。

 「イラク侵略協力反対の根拠に現行憲法を持ち出すような、『死んだ子の歳を数える』ごとき無駄なことはもうやめたほうがいい。それより我々とともに、真に日本人自身の手による、実効性ある自主憲法を作ろうではないか。これ以上の権力の暴走を止めさせるためにも!」

(この項終わり)
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