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改憲の敵? 中川八洋

 「『国民の憲法改正』(ビジネス社)だってェ? あんなトンデモ本、いまさら一体何を語るべきことがあるのか?」

 前号最終段落での私の予告を見た人のなかには、そう呆れられた方もいよう。

 確かに。穏健派はもとより、世間的には相当極度な保守派・民族派と見られてるような人たちでさえ、この本の内容に全面的に賛同できる度胸のある人はまずいまいと思われる。

 ざっと概観しただけでも、まずこいつは「憲法」というものの本義がまるで分かっていない、エドモンド・バークの思想を明らかに歪曲している、本当は伝統主義者のくせに「保守主義者」を僭称している、官僚専制政治の怖さが分かっていない、占領憲法押し付けの罪からアメリカを免罪しようとする親米ポチ的言説が目立つ、いやそもそもそれ以前に、こいつの言う「共産主義者」を全て「ユダヤ人」に置き換えれば、そっくりそのまま太田竜の「ユダヤ陰謀論」本になってしまう等々、保守左派であることを自負して止まない私の目から見てさえ、ツッコミどころは山ほどあるクソ本である。第一、こんな調子で自分と意見の合わない改憲派に片っ端から「隠れ共産主義者!」のレッテルを貼って断罪していったのでは、改憲勢力の結集が不可能になり、できる改憲もできなくなってしまうではないか!

 衰えたりとはいえ、教育・マスコミ・官公庁の各業界には、まだまだ根強い反日自虐勢力が残存していることは、昨年(注:2003年のこと)のセンター入試の世界史の問題一つ見ても明らかだというのに、「改憲派同士の新しい闘争の時代」だなんて、一体何をトチ狂ったことをヌかしているのだろうかこの学者は。

 「理想の憲法」なんて、たかが一回や二回の改憲でできるはずがないだろうことは、昨今の改憲論議の百家争鳴ぶりを見れば一目瞭然だろう? 今の我々にとって最も重要な課題は、まずは一度でも「合法改憲」を成し遂げ、その実績を作っておくこと。そしてその際には、第二次・第三次の改憲を少しでもやり易いように、改正要件を少しでも緩和しておくことではないのか。筑波大学のおエライ教授様が、この程度の大局的なものの考え方すらできないでどうするのか。改憲にとっての本当の敵は、左翼よりもむしろこいつや谷沢永一のような「獅子身中の虫」ではないかとさえ思えるような、極端に視野狭窄したこれは「トンデモ改憲本」であると、さすがの私も断定せざるを得ない。

(続く)
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