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GDP連動式最低・最高賃金法

 前回までに私が紹介した『プラウト三原則』のうち、①の『従業員株式保有制』については、外資からのM&A攻撃に怯える中堅企業などからは、むしろ歓迎される制度であろう。また②の『独占強制分割法』についても「競争と公正を重んじる」という新自由主義の建前から見て(本音はどうあれ)正面きっての反対は難しいものと思われる。

 だが今回私が紹介する『プラウト三原則』の最後の一つである③『GDP連動式最低・最高賃金法』は、これまでとは違い、もっとも激しい反対の予想される、導入の難しい制度であり、同時にもっとも切実に導入の望まれる、緊急性の高い制度でもあるのである。

 「最低賃金法? それだったら今の日本にも、他の先進国や発展途上国にすらちゃんとあるじゃないか」そういうツッコミがすぐに入るだろうことは容易に想像できる。だがラビ=バトラ博士は、その著書のなかでこう何度もはっきりと断言しておられる。

 「今の先進国や発展途上国の多くで規定されている最低賃金は、全体的にあまりにも低すぎる」と。

 ではプラウトでは、一体どの程度の最低賃金がもっとも適切だと考えているのだろうか。

 その具体的な計算方法については、残念ながら経済学の専門家でなければ理解できないような煩雑なものであるらしく、現在までに日本国内で出版されているラビ=バトラ博士の日本語版一般書では、肝心の数式部分が全て省略されてしまっている。だが最低賃金について解説された地の文から推測する限りでは、おおよそ次のような原則があることまではどうにか理解できるのである。

⑴それは最もレベルの低い、非熟練肉体労働者でさえもが生活を維持できる最低必要条件を満たせるものでなければならない。

⑵その最低必要条件とは「衣・食・住・教育・医療」の五条件である。

⑶その最低必要条件のレベルは、国または地域によって異なる。

⑷ゆえに国または地域全体の生産性が向上すれば、それに連動して最低必要条件のレベルも向上していかねばならない(すなわち『GDP連動式』というわけだ)。

⑸この最低必要条件レベルの富が全国民に分配された後の余剰部分の富は、個人の社会に対する貢献度に比例して配分される。その最高限度額は、大体最低必要条件レベルの十倍程度である(ゆえに『最低・最高賃金法』なのである)。


 ちなみに、いま仮に日本のGDPを五二〇兆円ちょうどとし、日本の労働力人口を六七〇〇万人ちょうどとして、前述の諸条件をもとに私が独自に計算してみた数式によれば、現在の日本において、労働者ひとりが本来保障されるべき最低年収は、三五六万八三六五円であるという結果がでた。これは額面上の数字だから、実際には税金やら保険料やらが天引きされ、労働者の手元に残るのはせいぜい二五〇万円程度になってしまいはするのだろうが、それでも仮に正規労働者の年間総労働時間を二千時間とすれば、時給に換算すれば手取りで一二五〇円。現行の法定最低時給七九三円(東京都の場合)よりも、はるかに高い水準になることがお分かりいただけるであろう。(続く)
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